【インタビュー】理学療法士学校養成校指定規則改正(2020年4月から)に伴う本校の取り組みについて
お知らせ
2020年4月から改正される理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則(以下 指定規則)は、1999年に改正されて以来、今回が実に20年ぶりに改正されることになりました。時代の流れとともに年々加速する超高齢社会により、介護保険制度の発足や地域包括ケアシステムの導入等に代表されるような大きな変化が社会にもたらされました。したがって、現代の理学療法士に対する社会からの要請を鑑みて、2020年4月の実施に向けて指定規則の改正が行われることとなりました。
■改正の内容
(1)新設科目
「社会の理解」
「理学療法管理学」
(2)必修分野
「栄養、薬理、医用画像、救急救命及び予防の基礎」
「医用画像の評価」
「喀痰等の吸引」
「臨床実習前の及び臨床実施後の評価」
「自立支援、就労支援、地域包括ケアシステム (※) 及び多職種連携の理解」
※ 地域包括ケアシステムとは、少子高齢化に対応するために国が進める政策の柱で、2025年を目途に構築される、“高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい生活を続けることができるように支援・サービスを提供する体制”のこと。
上記を踏まえ、本学での取り組みの変化について本校高柳副学院長にお話しをうかがいました。
質問者
今回の指定規則改正について、どのような背景が考えられますか。
高柳
近年の高齢化に伴う医療需要の増大や地域包括ケアシステム※の構築等によって、以前に比べて理学療法士に求められる役割や知識が大きく変化しています。また、臨床実習の実施方法や評定方法が養成施設ごとに様々であること等についての見直しを図ることを目的として実施されるものだと理解しています。
質問者
新たに「社会の理解」と「理学療法管理学」の科目を新設することになりましたね。
高柳
以前は、理学療法士の働く場所といえば病院やクリニックが一般的でした。しかし、近年ではスポーツ関係や在宅医療等の様々な分野に職域が拡大しています。そのため、医療機関に限らず社会全体の成り立ち等について学ぶ必要性が出てきたものと考えます。また、職域が拡大したことによって、各組織の中で次世代のチームリーダーとして管理能力を期待される機会が増加すると思います。したがって、それらの期待に応えることのできる人材を育成することの重要性を踏まえての改正だと考えています。具体的には、「理学療法管理学」の科目において「医用画像の評価」「喀痰等の吸引」が必修化されました。
質問者
また、「栄養、薬理、医用画像、救急救命及び予防の基礎」などについても必修化されましたね。
高柳
そうですね。これも理学療法士の職域が拡大している現状を踏まえた改正だと思います。本学では、以前から必要と捉えており、「救急医学」という科目名にて救急救命及び予防の基礎について学生に指導しています。
質問者
同様に、「自立支援、就労支援、地域包括ケアシステム及び多職種連携の理解」が必修化されました。
高柳
これも、職域の拡大を踏まえての必修化だと思います。特に、地域包括ケアシステムの中での理学療法士の活躍が期待されている裏付けでもあります。
質問者
さらには、「臨床実習前の及び臨床実施後の評価」についても必修化されましたね。
高柳
そうですね。臨床実習を終えた学生さんの成長をしっかり評価するためには、臨床実習前の能力を知っておくことが当然必要になります。学生さんにとっても、臨床実習に臨む前に自身の得意な点や不得意な点が明確になることは、臨床実習をより実りのあるものにするために有益なことだと考えます。
質問者
それでは最後に、入学を考えていらっしゃるみなさんや親御さんに一言お願いします。
高柳
東都リハビリテーション学院では、時代や社会の要望に応えるためのカリキュラムを組んでいます。ぜひ、本学で理学療法士を目指してみませんか。
Profile
髙栁清美 Kiyomi Takayanagi
経歴
2019年 - 現在 東都リハビリテーション学院 大学設置準備室 副学院長
2019年 - 現在 埼玉県立大学 客員教授
2009年 - 2019年 埼玉県立大学 大学院保健医療福祉学研究科 教授
2004年 - 2019年 埼玉県立大学 保健医療福祉学部理学療法学科 教授
2002年 - 2004年 札幌医科大学 保健医療学部理学療法学科 助教授
1999年 - 2002年 札幌医科大学 保健医療学部理学療法学科 講師
1995年 - 1999年 広島大学 医学部保健学科 助手
1998年 University of Minnesota Department of Physical Medicine and Rehabilitation 文部省長期在外研究員
1991年 - 1995年 労働福祉事業団九州リハビリテーション大学校 理学療法学科 講師
1983年 - 1991年 労働福祉事業団九州労災病院 リハビリテーション診療科
受賞
日本理学療法士学会 第20回日本理学療法士学会学術奨励賞